相撲大会 「げ、どうしよう・・・」 自分の教室に着いてしまってから、俺は今日の体育で使う アレを忘れたことに気がついた。 HR開始まであと10分。 今から家にとりに戻るわけにもいかない・・・ 誰か、他に忘れた奴はいないか? 「おい、真田、望月、今井、お前ら今日アレ持ってきた?」 俺は一人でも仲間を見つけたくて、手あたり次第に 近くの席の親しい奴らに聞いてみた。 だけど、突然の言葉足らずな質問に、その中の一人が 「え、アレって何だよ?」 と、返してきた。 あー、もう察しの悪い奴だな! アレったらアレだよ、 相撲で使うま・・・ 「まわしだろ。持ってきたよ」 俺がアレの事を言おうとした瞬間、先に 前の席の真田がアレの正体を言った。 さすが俺の親友だ。 「なーんだ。まわしかよ、もちろん持ってきたぞ」 「俺も俺も」 「忘れるわけないじゃん。ずっと相撲するの  楽しみに待ってたんだから」 そう、俺達が通うこの小学校では、5月から7月まで 男子のみ全学年、体育で相撲をやる事になっている。 これを楽しみにしてる奴もいれば、憂鬱でしかない奴もおり、 感想は人によって様々だ。 ちなみに俺は中堅クラスの強さなので、 嬉しくもなければ嫌でもない。 「う、やっぱりみんな持ってきてるのか・・・  誰か忘れた奴いないのかよ・・・」 教室を見渡しても、慌ててる奴は誰もいないし 忘れたのはきっと俺だけだろうな・・・ しょうがない、一人で体育の網野に怒られよう。 あーあ・・・ と、俺が全てを諦めた、その時、 やたら興奮した奴が教室のドアを勢いよく開けて 中に駆け込んできた。 今日の日直の山田だ。 もしかしてアイツもまわし忘れたのかな? 地獄の中に仏を見つけたような気分で、俺は山田に駆け寄った。 「おう、お前もまわし忘れたのか、  一緒に網野に怒られような!」 だが、当の網野はキョトンとした顔をしてこう言った。 「はぁ? まわしはちゃんと持ってきたよ?」 なななな、持ってきてるぅ!? そうなのか・・・なーんだ・・・ 俺はその場で力なくうなだれた。 ん? でも待てよ、それなら山田はなんで・・・ 「じゃあ山田、なんでそんなに興奮してるんだ?  何かあったのか?」 落胆と同時に湧いて出た疑問を山田にぶつけてみると、 それに対して彼の口から出た言葉は 「あ、そうだった。そうだった。  みんな、今日このクラスに転校生がくるぞー!!」 という全く予想外のものだった。 「えー、転校生!?」 「おい、男か女かどっちだよ!!」 「ねぇねぇ、かっこいい男の子だったんでしょう!?」 「いいや、きっとかわいい女の子だろ!?」 クラス全員の目が山田に集まり、各々 自分の質問を投げかけて、教室内は大騒ぎとなった。 「あぁー、もうお前らうるさーい!!  今から発表するからおとなしく聞けー!」 山田の一喝で、先ほどとはうって変わって 静まり返る教室。 皆が、固唾を飲んで山田の次の言葉を待っている。 「・・・では、発表します」 ゴクリ 隣に立っている奴の生唾を飲み込んだ音が聞こえた。 俺もまわしの事などすっかり忘れて 山田の言葉を待っていた。 「よろこべ男子ーーー!!!」 ウオオオォォォォーーーー!!! 山田の発表で男子勢の歓喜の雄叫びがあがった。 「しかも、すっげぇ可愛いぞー!!!」 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!! もはや耳鳴りがするような歓声だ。 それに対して、女子勢はガックリとしている。 まあこればかりは時の運だ。悪く思うなよ。 キーンコーンカーンコーン そうこうしているうちにHR開始のチャイムが鳴った。 みんなそそくさと自分の席につき、転校生と ついでに担任の州川先生を待っている。 そんな雰囲気の中、HR開始から10分が経った。 だが、いまだに教室のドアは開かれていない。 「おっそいなー、何やってんだろ」 「まだ職員室で話やってんのかなぁー」 たった10分だが、それでも待ちくたびれた様子で 男共がぼやきだす。 そしてそれからさらに5分ほど経った頃、ようやく 教室のドアが開かれた。 俺達5年C組の担任、州川先生が ドアを開けっぱなしにしたまま入ってくる。 すなわち、転校生ご到着ということだ。 ・・・ん、なんか今日の州川先生元気無いなぁ・・・? ま、いっか。 そして・・・ ついにその噂の転校生が、教室にその姿を現した。 おおおおおおおおおおおおおおーーーッッッ!!! 本日三度目の雄叫びが起こる。 だが、今回のは1、2回目とは違い、女子も それに加わっていた。 それは、 山田が言ってた通り、予想以上の美少女だったから。 それと・・・ ものすごくデカかったからだ。 まあ、それでも男子勢の受けはいいらしく、子踊りしてる奴から 嬉しさで半泣きになってる奴までいる。 さーて、まずは転校生の紹介だよな。 「で、では・・・彼女を・・・紹介させていただきます・・・」 州川先生が、消え入りそうな声でそう言った。 いつもは普通にハキハキと喋るのに、なんで今日は敬語なんだ? まさか先生も転校生に惚れちゃってドギマギしてるとか? ハハッ、まさかね。 先生が白のチョークで黒板に転校生の名前を書いていく。 『北条 朝美』 へぇー、朝美っていうんだ。 容姿に合った綺麗な名前だなー。 それじゃ、次は転校生自らの自己紹介。 のハズだが・・・ 「朝美ちゃんはいつも何して遊んでんのー」 「この学校どうー? なかなか設備いいだろ」 やれやれ、やっぱりそうなったか。 さっそく、転校生来訪につきものである質問攻めが始まった。 「もう彼氏いるのー?」 「もしいなきゃ立候補しまーす!」 「あ、ずるいぞ立川。俺も俺もー!!!」 「スリーサイズは!?」 「あ、それ俺も知りたい!!」 「やだ、セクハラよ、セクハラ!!」 「黙れ女子共、これは我ら朝美親衛隊にとって  最重要事項なのだからな!!」 「朝美親衛隊なんていつできたのよ!!」 「たった今、この瞬間にだ!」 「わはははははっ」 「うるさい!!」 ドカァッ!!! シーン・・・ あれだけ騒がしかった5ーCが、一瞬にして静まり返った。 皆、何が起きたかわからないといった顔をしている。 だが、俺は見た。 北条さんが右拳で教卓を叩いた瞬間を。 その反動で教卓の上に乗っていた生徒名簿は 床に落ちてしまっている。 一番近くに居た州川先生はというと、酷く脅えた様子で 小刻みに震えながら立ち尽くしていた。 そして・・・ 「お前ら、さっきからゴチャゴチャゴチャゴチャと  うるさいのよ!!  あんたらおチビ達が私に興味持とうなんて十年早いわ!!    あと、私は人に命令されるのが大っ嫌いだから、もし  私に指図なんかしたら、タダじゃおかないからね」 北条さんの可愛い口からこのような 恐ろしい言葉が次々と吐き出された。 俺達、これからどうなるのだろう・・・ そんな不安が俺の胸を覆ったのだった。 [2ページへ] [TOPへ]
動画 アダルト動画 ライブチャット