「よくぞ臆せずに現れましたねっ、ロロノア・ゾロ!!」 そう叫ぶと、たしぎは “ キッ ” と敵(かたき)を睨みすえ正眼に構えた剣を向けるが、深夜人っ子一人いない場末の倉庫で たった一人で3刀流の異名を持つゾロに対峙しているという現実からくる不安が微妙に揺れる切っ先に如実に現れている。 もっとも彼をこの場所に呼び寄せたのは彼女のほうで、持ち前の正義感と稀代の名刀が悪漢の手におちてしまっている義憤が 彼女の冷静さを失わせ、(「雪走(ゆばしり)」、「三代鬼徹」そして「和道一文字」の名刀は悪漢が持つに適わず、よって 子の刻ローグタウン港の三番倉庫に来られたし)なる、罠のもならないような稚拙な(彼女は本気なのだが)矢文を 海賊の隠れ家に打ち込ませるにいたったのである。 しかし、既に運命の歯車に囚われてしまっているのか、ゾロもなにかに魅入られたように仲間の制止を振り切って、本来であるならば 一笑に付し、歯牙にもかけない内容の矢文に誘き寄せられこの場に来てしまっているのもまた確かなのである。  そしてそれほど長くもない睨み合いの末、とうとうたしぎのほうから息をもつかせない立ち合いの重圧感に耐えられなくなったのか 「臆しましたかロロノア・ゾロ!!そちらから来なければこ、こちらから・・・」 と蒼白な顔で気丈な言葉を発するが、恐怖に竦んだ足は小刻みに震え、勇ましい台詞とは裏腹に先ほどから一歩も ゾロの制空権に踏み出せないでいる。 そんなたしぎを見て嘆息交じりに、  「もうその台詞は聞き飽きたぜ・・・。さっさとしねえと夜が明けちまうから、とにかくなんかしてくれるとかしろよ?」  と、ぼやいたゾロの言葉が癇に障ったのか、眦を裂かんばかりに吊り上げ、 「ど、どこまで私を愚弄するつもりですっ!そんなに憎いのであればそっちから打ちかかって くればいいじゃないですかっ!! それとも私一人切り捨てる自信が無くて?」  まるで説得力のないたしぎの挑発に、ゾロは失笑交じりに言葉を返すが、その返答が膠着した状況を一変させる。 [たしぎ編・4ページ]
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