男殺し・河上加代・10 3.夢追い人の残骸の中 「・・・・おき・・あね・・あ・ご・・おき・・ったく、しょうが・・・起きろ、デカ女!!」 となりに座っていた義重があたしの身体を揺すりながら叫んだ。 「う・・うん・・な〜に〜?」 「ったく、しょうがねーな・・・・着きましたよ!!秋田に!!さぁ早く!!」 義重が慌ただしく荷物をまとめる。駅に着き義重とあたしは電車を降りた。 「う〜ん、気持ちいい」 まるで、あたしを歓迎するかのようにホームには心地よい風が吹いている。 二人で改札を抜け、義重がタクシーを拾いに行った。あたしは後ろから着いていった。 ・・・・いったい世間の人はあたし達の事どうみているのだろう? 彼氏彼女?夫婦?まー確実なのは「バランス」の悪い凸凹コンビだって事かな?・・・・・ 「おっちゃん、この場所までお願い!!!」 運転手は顔を曇らせながらうなずき、あたし等をタクシーに乗せ走り出した。 かれこれどのくらい走っただろう。メーターは・・・・・見たくない!!びっくりする金額だ。 「ちょっと、あんた金あんの?お・か・ね!!」 「大丈夫っすよ!!事前に交通費分のカード配られますから!!」 偉い待遇だ・・・ タクシーはどんどん山の中に入っていく。何にも無い・・・・ 「着いたよ・・・・」 終始無口だった運転手が一言った。義重はカードを渡し清算をした。 ・・・・潰れた工場だ・・・何の工場だろう?・・・工場の周りは柵で囲われている・・・ この場所には誰も寄せ付けない、そんな感じを漂わせている。 入り口にスーツを着た一人の男が立っている。 「試合出場者か?だったら名前をいえ。」 「世界最強の人間、デンジャーX!!!」 ・・・・ネーミングセンスゼロだよ、この馬鹿は・・しかも世界最強の人間って・・・ 売れないインディー団体のプロレスラーじゃないんだから・・・・ 「十代の部の出場者だな。よし入れ。おい、後ろの熊みたいな女はマネージャーか?」 くく、く、く熊みたいっですって!!!さすがに頭に来たあたしが殴りかかろうとした瞬間、義重が仲に入り 「まーまー、一応そんなとこかな?さ、行こう。」 あたしは握り締めた拳を広げ、肩で風を切りながらその男を睨みつけながら工場の中に入った。 工場に入ると目の前の無機質なコンクリートの壁に各選手の名前の書いた紙が張ってある。 全部みてみたが女の名前は無い。念をいれもう一度確認する・・・・やっぱり無い。 もちろんあたしの名前も無い。なんせ、デンジャーXだし、義重がデンジャーXになっている。 紙には控え室の位置も書いてあった。 本物のデンジャーXことあたし「河上加代」と、偽物デンジャーXは控え室に入った。 控え室に入り、荷物を降ろしている義重に近づき、 「ちょっと!!!!!!デンジャーXって何よ!!!!!!めちゃめちゃ馬鹿みたいじゃん!!!! あれだったら本名の方がまだいいよ!! それか、もっとかわいい名前にしてよ。キューティー加代とか、シュガー河上とかに!!」 そうあたしが義重の首根っこを掴まえ持ち上げながら言うと 「わかったッス!!あ!!!今、良いの思いついたから放して!!苦しいッスよ!!」 あたしは手を離した。義重は地面に落ち、ゴホゴホとセキをしながら 「じゃー、良い名前思いついたんで変更してきますね!!!!!」 そう言うと猛ダッシュで部屋から出ていってしまった。 「ちょっと待って・・・・たくしょうがないねー!!!でもデンジャーXよりはいいか。 さて、試合で何をしようかな〜。」 あたりを見回したが控え室には全身を映せる鏡、小さいスピーカー、パイプ椅子、そして 義重が持ってきたバックしかない。 バックを見たあたしは義重のプレゼントを思い出した。 「しょうがない・・・着てみるか・・・」 あたしは生まれたままの身体になり、義重のバックからコスチュームの入った袋を取り出し、まず 下のコスチュームをはいた。 コスチュームの下には何もはかない。 パンツを履いてユニホームを着るとラインがくっきりとわかってしまう。バレーの癖だ。 次は上・・・・着てみてビックリ・・・正面から見た胸の所は紐で結ぶようになっている。 ちょっとでも紐がほどければご開帳だ!! ・・・ったくなんて悪趣味な物を作ったんだか・・・ それでも、あたしはコスチュームを身にまとった自分の姿を見たく鏡の前に立った。 ・・・・似合ってるじゃん・・・・正直な感想だった。美白のあたしに光沢のある燃えるような赤。 あたしの大きなバストをやさしく包みこむ上のコスチューム、あたしの大きなヒップと鍛え上げられた太股を 自慢げに強調するブルマタイプのパンツ。 全てがあたしの自慢のパーツを強調するように計算されたかのようだ。 そして、なぜか数倍強くなった気がした。 「姉御、名前かえ・・・・」 急に部屋に入ってきた義重はそこまで言うと言葉を詰まらせた。 「どうだい?にあうかな?」 「・・・・マジいいッスよ!!俺の予想通り!!!いや、それ以上だ!!格好いいっすよ。」 「ありがとうね。」 あたしは義重を抱き寄せ額にキスをした。 少し照れたのか義重は顔を赤らめながら、 「っちゅうか姉御、さらにおっきくなりませんか?いや、太ったとかじゃなくて。」 たしかに自分でも思った。自分では意識していなかったけど、身体のパーツが全て大きくなっている。 腹筋も筋肉の上に脂肪がついているから分かり難いが、前よりもはっきり割れている。 「そうそう、ちなみに姉御って身長どのくらいなんですか?」 「え?ああ、確か190ぐらいかな。」 「2メートルないんですか!!!!?」 義重が目を丸くして言った。 「当たり前でしょ!!!!!失礼ね!!!」 「いや、ごめんなさい!!!でも実際見えますよ。 俺姉御に潰されたとき、2m先あると思いましたもん!!」 たしかに、あたしは細い針金のようではない。鍛え上げられた筋肉のせいで 必要以上大きく、そしてその筋肉はみる人を威嚇している。 「それはそうと、名前何にしたの?可愛い名前にしたんでしょうねー?か・わ・い・い」 あたしはわざと可愛っ子ぶって言ってみた。義重はちょっと軽蔑するような目して言った。 「いや!!姉御には可愛い名前は似合わないッス!!」 「じゃー何にしたの!!!?」 義重は自信満々で、 「男殺し・河上加代!!どう?ストレートでいいしょ!!」 「男ごろ・・・・」そこまで言いかけわたしは言葉をにごらせた。 「最初は「真紅の去勢天使」にしようと思ったんですけど、さすがに 相手にばれちゃいますからね!!姉御の必殺技が!!」 義重は、ニヤニヤ笑いながら嬉しそうにあたしに言った。 「・・あたしが去勢天使って・・」 ・・・ハァ〜事実、義重の玉を去勢したのはあたし。 そのせいかどうかはわからないが全く怒る気にもならなかった。 ・・・あの時、殺していても全然いい奴だったな・・・・ あたしは起こる気もうせ、そこに置いてあったパイプ椅子に腰掛け、両手首に 唯一持参したテーピングをグルグル巻いた。 これもバレー時代の癖。何となく巻いておくと安心する。 ふと、鏡の横に張ってあった紙に気がついた。 あたしはそれをビリッと破りとり、書いてある文面を読んだ。 ・・・・大体は義重から聞いている事と一緒。聞いていなかったのは 「試合はレフェリー無しの完全デスマッチ。勝敗の行方は、相手の死亡、もしくは失神KOのみ」 ・・・・・・ 凄い試合形式だ。あるであろうと思っていたギブアップは無し。 人を殺してもかまわないってのは本当らしい。 ・・・・嫌だ・・・また下半身が熱くなってきた・・・・ あたしは自分の大切な所に手を当て、椅子の上で身体をおりこんだ。 心配そうに義重が覗き込んでいる。 ・・・・アハハハハハ!!!どうしよう!!?・・・・あたしよ!!どんな風に殺る!!?・・・・・ 置いてあった小さなスピーカーから放送がかかる。 「おい、時間だ、すぐ会場にこい。」 あたしは立ち上がり、思いっきり自分の頬を両手で叩いた。 「姉御、大丈夫ですか?さっき苦しそうでしたけど・・・・」 「え?なにが?まーとりあえず行ってくるよ。 あんたは試合見られるとこにでも行って見てな。すごーい試合みしてあげるからさ。」 その後、義重は何か言っていた。 でも全然あたしの耳には届かなかった。 あたしは今からこの潰れた工場で試合をする。 夢を追い、この工場を建てた人間の想いが詰まっている工場の中で・・・・ 夢追い人の残骸の中で、同じ十代の男の夢を奪う・・・・ 一歩一歩真っ赤な戦闘服に身を包み、裸足のあたしは会場の扉に近づいていく。 地面のコンクリートの冷たさとあたしの心がクロスし始めた・・・・・ (・・・・あたしの心にあるどす黒い物がいろんな所を蝕んでいく・・・・悪くない・・ これが人間のあるべき姿・・・自分の私欲のため・・・・自分の名誉のため・・・・ あたしはこれから人を殺すかもしれない・・・あたしが生きるため・・・ フフフフ・・・どうしよう!!抑えられない!! ・・・・嫌だ・・・また下半身が・・・・今度は濡れている・・・・・・・) [戴き物展示場へ]
動画 アダルト動画 ライブチャット